◆多読習慣◆
◆多読習慣◆
作成日:2024/05/11
【ストラテジック・マインド―変革期の企業戦略論】



本書の原本は、大前研一氏が著し、1982年にアメリカのマグロウヒル社から刊行された"The Mind of the Strategist"(戦略家の心)と題する英文本の和訳、逆輸入版。自分的にはキーワードが、「企業参謀」と、マッキンゼー社。あと、CSF(文中は、KFS)と3C。「企業参謀」も、いずれ多読してみたい。また、「星野リゾートの教科書 サービスと利益 両立の法則」にも、紹介されている。こちらもいずれ。
 
 
■第1部 戦略的思考の基礎
・バス旅行の分析から。いきなりこれw。「伊勢志摩国立公園内保養地で、テニス等のお好みのスポーツを云々」。東京⇔志摩半島一泊旅行の内、43%近くをバス車内で過ごし、40%が睡眠等、結果、17%しかスポーツの時間が取れない。旅行費用が当時125ドルだとして、スポーツができるコストが約20ドル。地元のテニスコートでラケットを握った方が?⇒要するに、分析は戦略的思考の出発点である、とのこと。

・イッシュー(問題点)・ダイアグラム(YES/NOで展開していくフレームワーク)の紹介。

・優れた企業戦略とは、受入れ可能なコストで競合相手に何歩も先んずることを許してくれる戦略。2-1図「4つの基本戦略」p52。縦軸(既存or独創)と横軸(競争or回避)
@KFS(CSF)成功のカギに基づく企業戦略(機能差強化)
A相対的優位性に基づく企業戦略(競合相手の弱みを利用)
事例:サクラフィルム、富士フィルム。複写機の低入場料金政策。
B先制攻撃の反復による企業戦略(なぜ、なぜの問いかけ)
事例:トヨタ同期生産システム。某トラック販売会社のセールスマン販売成功率の分析。
C戦略的自由度(SDF)に基づいた企業戦略(ユーザーの便益の最大化)
「目的関数」制約下での最小(大)化。
変数について。戦略の概要は、商品の変数を強化・調整することで、顧客にマッチングさせるというもの。コーヒーの事例:商品の変数は、豆の種類・煎り方・挽き方・抽出法・水温など。

・作者の提案。まず最初に戦略的自由度を見極め、次にその自由度の存在を明らかにした各軸上可能性を徹底的に検討する。

・「この産業で成功する秘訣(CSF)は何ですか?」アメリカ最大の木材会社の事例。
 
■第2部 優れた戦略の構築
・戦略的三角関係(3C分析。自社、顧客、競合相手を常に意識すること。)

・事例:カシオ計算機。製品のライフサイクルをわざと短縮化し、他社の追随を阻止した。

・機能別コストを減少させるための方法。費用対効果を改善する。
@競合他社よりもずっと効果的にコストを引き下げてやる。
A選択を一層慎重に行う。(受け入れる注文、提供される製品等)
B自社の他の事業とある種の機能を共有する。他社のそれでも問題なし。
※特定機能コストを減らす。
 
p.171 12-2図標準戦略の見本「PPM(ポートフォリオ管理)」の紹介。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントのこと。
こちらの名前の方が、一般的なのだと思いますが。
 
■第3部 現代の企業戦略環境
・PPM(ポートフォリオ管理)の解説の続き。
 
・p.205 p.73 第5章 目的関数の振り返り。「なぜ?」を5回、問い続けること。
電球、エアコン、フォークリフト、これらはなぜ変わりがないのか?
 
・p.215 戦略的対応の確立。計画立案のため、会社の事業を4つの種類に分類する。
1)買い替え需要型。
2)主役交替型
3)新経済秩序型
4)ライフサイクル短命化型
 
・p.226 第14章 戦略的変化への対応 トヨタの戦略。労働集約型から、資本集約型へ。従業員一人当たりの生産高、自動車生産台数、ともに、競争力がある。(カンバン・システム、カンバン方式、ジャストインタイム(JIT))大野耐一副社長「顧客は本来、一人一人が異なった車種を求めるものであり、メーカーとしてその要求を満たせない理由はないはず」
 
・限界を知ること。
【三大R】
1)現実(reality)永久に切れない電球の開発。虫歯にならない技術導入。
2)熟成度(ripeness)タイミングの問題。時期尚早の戦略または遅滞。皿洗い機等。
3)資源(resources)企業内の資源、技術能力の限界、企業文化を認識しているか。トヨタの住宅部門、サントリーのビール事業。
 
・創造性の必要条件。三つの資質を養う。
@発動力:創造性を刺激する。ビジョン、集中力、内的衝動。
事例「ヤマハ」:家具メーカーから、レジャー産業へ。楽器メーカーから、コンサートホール運営業務へ。
A事業感性:何か起こりつつある気配を察する触角。
事例「オムロン 立石博士」:流れの概念が当てはまる現象を感知する不思議なカン。
1)銀行業務を資金の流れと捉えて、自動化銀行システム導入。
2)交通渋滞、電車の駅の混雑、車や人間の不自由な流れ、交通規制順序式コントローラー、自動化による無人鉄道駅開設。工場の生産ライン、部品の物理的流れ。
B雑音耐性:批判、敵意、嘲笑にまでも耐えるしぶとさが必要。(創造性を生み出すための)
 
・結論「選択的成功の秘訣」
1)一定の習慣的な心の動き、思考形態を訓練により体得し、意識下にある創造的能力を開放する。
2)有用な戦略的アイデア誕生の可能性増大を図る。
3)創造性、頭脳生産性、戦略的洞察力は国境を超える。
4)全世界に通じる普遍性を持つ。
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