◆多読習慣◆
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作成日:2024/04/06
【選択の科学】+【選択日記】



著者は、シーナ・アイエンガー(コロンビア大学ビジネススクール)教授。

1969年トロント生まれ。両親はインドのデリーからの移民でシーク教徒。1972年にアメリカに移住。3歳の時に眼の疾患と診断され、高校生で全盲になる。
同じ年なのに、凄い方だ(@_@;)

■「選択」を研究テーマにした理由
・日常生活のすべてが、シーク教の教えと両親によって決められてきた中で、アメリカの公立学校で、「選ぶ」という強烈な力を発見した。
・「選択を科学する」自分の日々の行動は、当然選択ばかりだが、その選択に譲れない理由があり、その理由を常に説明することができるのであれば、これほど納得感を得られることはない。 

■第一章「選択は本能である」

・「選択」とよんでいるものは、自分自身や自分の置かれた環境を、自分の力で変える能力のこと。
・誰かに押し付けられた人生よりも、自分で選択した人生の方が幸せになれる。
・実際に人は自分で何かを決定できること、自分自身や自分の置かれた環境を自分の力で変えることができるという認識を持つことが幸福感を高める。
・これは、自分の選択が自分自身や周りの環境を変化させる力があることを実感することが大きく関わっていて、これが実感できない環境に置かれてしまうと無力感に陥ってしまう。
・たとえ得られる結果が少ないものであっても、自分で選ぶことを本能的に欲する傾向は動物にも見られ、野生の動物と比べると動物園の動物たちの寿命は、はるかに短い。
・選択するということは人間や動物の本能であり、元気に快活に生きるためには欠かせないこと。
・事例:「社長は長生きする」、「老人ホームでの実験」、「スティーブ・ジョブスの人生」「ビル・ゲイツの高校生時代」
 
■第二章「集団主義か、個人主義か」
・見合いと恋愛結婚、どちらが幸せか?
・宗教上の理由で定められた結婚でも、必ずしも不幸をもたらさない。
・信仰に厚い人ほど信仰を持たない人に比べて鬱病に悩まされる割合が減り、信仰の取り決めやしがらみがあるにも関わらず「自分の人生を自分で決めている」という意識を持つことができている。
・「行動の自由の制約は必ずしも自己決定感を損なうわけではない、思考と行動の自由は必ずしも自己決定感を高めるわけではない」
・選択の価値は一人一人がどういう考えや物語を聞いて育ち、どのような信念を持つかによって決定される。
・個人を重視する個人主義、集団や周りの規範に習うことを重視する集団主義。
・「選択」という行為を取り上げてみても、選択に何を期待するのか、どのように選択を判断するのか、選択に対する人々の考えは国や文化によってまるで違う。
・事例:「京都在学中の調査(大学生100人対象として)」、「シティコープでの実験」、「東ドイツ住民は何故昔を懐かしがるのか」、「ソーダはソーダ」
 
■第三章「強制された選択」
・360度評価法
・恒常状態(ホメオスタシス)
・多くのわざとらしい選択肢の中から、むりやり選ばされている。
・バイアス3:人はその他大勢と見られることに我慢できない。
・誰もが自分は平均以上で、ユニークであることを望んでいる。
・人はその他大勢と一緒にされることに耐えられず、多くの人が自分は平均以上に物事が理解でき、仕事ができ、ユニークな存在であると思いたがっている。
・他人も自分と同じように複雑に考え、思考する存在であることに気がつかないということでもある。
・飛び抜けた個性はほとんどなく、どんな人でも平均の範囲に収まることがほとんどで、自分がその他大勢に分類されることは、本能が否定するという人も多い。
・自尊心を健全に保つには、大勢の集団からちょっと目立つ程度で、かつ極めて少数の奇抜者にならない範囲の選択を、多くの人が選ぶ。
・他人の選んだものは選びたくない心理も同様。
・選択は認知的不協和(自分の思考と行動を一致させようとする傾向のこと)にも左右される。
・人は様々な自分を定義して、自分の世界をカテゴリー分けしている。人はその分類に一致することを好むので、それらの考えに矛盾した行動はとりにくくなる。
・過去に行なってきた自分の思考や選択も積み重ねられて、強化されていく。要するに矛盾なく辻褄があうように今の行動を説明しようとする。
・自分から見て、周りから見て、一貫した自己像にあった選択や行動を行う。(自分はこういう人物だと思う→それに一致した選択を取る)
 
■第四章「選択を左右するもの」
・バイアス2:選択は、情報の枠組みに左右される。
・バイアス6:なぜ人はそれを我慢できないのか。
・事例:「吊り橋効果」、「マシュマロテスト」、「自動システムと熟慮システム」 
・戦略2:「誘惑」に「習慣」で対抗する。
・戦略7:理想と現実のギャップをどう克服するか。
・経験則その2 フレーミング
・今の100ドルか、将来の120ドルか。今少し我慢して、将来の大きな利益を取る選択ができれば良いのだが、実際は将来の120円より今の100円を選ぶといった感じの選択肢を取る人が多く、こうした小さな損の選択の積み重ねで人生全体から見て大きく差がついてしまう。
・誘惑に負けてしまうことは、短期間の満足を生むものの、それが頻繁に続くと将来的に大きな損となりかねない。
・直感はフィードバックの検証が必要。ベテランになる程直感に判断を任せたくなるが、これが機能するのは選択の後の結果のフィードバックを検証している分野に限る。あくまでも直感はその状況に対しての認識であって、その認識が正しいかどうかはしっかりと結果を内省して正しいのか間違っているのか検証する必要がある。
・自分の幸福に関する問題は全部重大な問題。人は他人にアドバイスをするときは、客観的に正しく評価・判断できるが、自分の幸せに関わる問題となると判断が鈍ることがあるす。とかく自分に関する事は重大な問題であると思いがちで損をしないために様々なバイアスが働くから。 
 
■第五章「選択は創られる」
・バイアス8:なぜコカ・コーラを飲むのか
・「単純接触効果」
・「プロコンリスト」pros and cons list
・戦略3:禁止するにしても、裁量余地を残しておく
 ・予測は自己成就的。私たちはブランドを消費している。「ブランドを飲んでいる」
・ブランドの持つイメージはとても強く、コカコーラが世界に展開した広告キャンペーンの影響は文化の一部に残っていることも(クリスマス→コカコーラorケンタッキー、サンタクロース→赤など)。
・投票行動は容姿に影響される。
・「プライミング効果」
・「サブリミナル効果」 
 
■第六章「豊富な選択肢は、必ずしも利益にならない」
・マッキンゼー「3×3ルール」
・バイアス9:品数が豊富なスーパーほど売り上げが多い?
・事例「マジカルナンバー7±2」、「ジャムの実験」
・戦略5:選択肢を絞って売り上げをあげる
・戦略6:多すぎる選択肢に対処する。「他者(専門家)との共同作業」にする、「集団の知恵」を利用する、「分類」する。
・事例:車販売ディーラーでの実験。選択肢の少ないオプション⇒満足度高い、多いオプション⇒満足度低い。・S&P500、401K。
・「ロングテール」 
 
■第七章「選択の代償」
・子供を亡くした親たちの面接調査を通じて⇒「選択すること」、「選択してもらうこと」
・「プラシーボ効果」
・事例:「ヨーグルトの実験」おいしい、と自ら選択⇒1.0ドル値決め、まずい、くじで選択(非選択)⇒1.5ドル
・心理的反発リアクタンス 
 
■最終章「選択、偶然、運命の三元連立方程式」
・「から」(抑圧、制限、束縛)の自由と、「する自由」(追い求める) 
 
【まとめ】

■@「その選択は環境に左右される」
・選択=自由を思い浮かべる。選択と自由は極めて密接な関係を持っている。
・しかし、選択できることが必ずしも自由であることを意味するわけではない。選択者のバックグラウンド(親、兄弟、学校、会社、国家、民族など、人間は常に環境から影響を受けている)が選択を制限したり、特定の選択に誘導したりするため。
・自分だけの価値観を持っていると自負する人でも、物理的、文化的な環境に影響されている。
・そのため自分で選択したと思うものでも、それは環境から要求されて選択したのかもしれない。(事例:「吊り橋効果」に関する実験)
・重要なのは、自分の選択が周りから影響を受けていると自覚すること。
・周りから受ける影響には良い影響と悪い影響がある。(良い事例:尊敬する先輩が実践していた習慣を取り入れようとする等。悪い事例:友人から聞いた噂話で投資を始める等。)
・自分の選択が、何から影響を受けたものなのかを自覚すれば、悪い影響から極力距離を置くことができるようになるかもしれない。
・選択は、周囲から影響を受けることを認識する。
・自分が自由に選んだと思っていても、周りの人や環境が影響を与えている場合がある。
・その時点では避けることができないかもしれないが、影響を受けていることを自覚できるようになれば、ある程度コントロール方法を身につけることが可能。
 
■A「選択肢が多い方が良いという幻想」
・可能性を増やすため、選択肢を増やそうととする行動。特に子供に対して、押し付けているかもしれない。
・事例:「ジャムの試食」実験
・スーパーの入り口に試食コーナーを設置し、試食をした客が実際にジャムを購入するかどうかを調べるというもの。
・1回目は試食用に24種類のジャムの用意し、2回目には6種類のみに減数した。(母数100人中とする)
・実験の結果、24種類の時には60%が試食をしたのに対し、6種類の時には40%しか試食コーナーに訪れなかった。
・ところが、24種類の試食をした客が実際にジャムを購入する割合はわずか3%、対して6種類のケースでは試食した客の30%が購入に至った。つまり、24種類の試食では客全体の1.8%、6種類の場合は12%が者も購入したことになる。(1回目100人*60%*3%=1.8%、2回目100人*40%*30%=12%)
・選択肢の多さに満足してしまうと、そこから本当に望ましい選択をするのが難しくなってしまう。
・なぜなら、何かを選択するというのは、それ以外の選択肢を捨てていることになるから。
・人間の心理として、所有物を失うことを極度に恐れるといった面がある。つまり、選択肢が増えるほど、選択に対する心理的反発が大きくなる。
・選択肢を増やすというのは、自分私を維持する能力と選択した際の心理的負担も大きくなる。
・もし、不要な選択肢は初めから捨ててしまうという習慣を身に付けることができれば、こうしたコストを減らすことができ、より望ましい選択を行えるようになるかもしれない。
・選択肢を増やすデメリットを理解する。つまり、可能性を増やすことは絶対に良いわけではない。
・選択肢を維持するコスト。どれくらいの選択肢が適切なのか、選択コストとの兼ね合いを意識して決めることが必要。
 
■B「選択を検証する」(【選択日記】)「選択評価プログラム」
・自分の選択が何から影響を受けたのか。
・人は周囲からの影響によって望ましくない選択をしてしまうことがある。
・なるべく影響を少なくする方法がある。そのために必要なのが、自分の選択を検証
すること。
 
 
事例1:元チェスプレイヤー「ゲリー・カスパロフ」
事例2:ベトナム戦争「ポール・バン・ライパー元海兵隊中将」
 
・ある選択を行った際、その選択が何から影響を受けたものなのか。その結果は、どのようなものだったのか、きちんと省みることで強化できるようになるとのこと。
・自分にとって肯定的な結果であれば、受けた影響は良いものだと言える。
・逆の結果であれば、悪い影響だと考えることができる。
・自分の選択に影響するものや、選択そのものを自分なりに検証できれば、より良い選択の
ために必要なものが見えてくるはず。習慣の問題。
・自分の選択について記録をつけたり、日記を書いたりすることで、あとから自分の選択を
見つめ直す機会を作れるとのこと。
・人生には数えきれないほど多くの選択が待ち受けている。その際の選択コストが、何千何万と積み重なるので、人生に与える影響は決して無視できるものではない。だからこそ、自分の選択について真剣に考えることは、人生を豊かにするきっかけになる。
・いかにして「選択」という行為と向き合うべきかを考える機会を与えてくれる。
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