古川天(ひかり)氏の著書
多くの士業(税理士、弁理士、社労士、行政書士など)が直面する「所長や特定のベテラン職員がいないと仕事が回らない」という問題解決を考える
「個人のスキル」に頼る体制から、「仕組み」で成果を出す体制への移行が大事
1. なぜ士業事務所は「属人化」しやすいのか
士業の仕事は高度な専門知識を要するため、以下の負のループに陥りがち
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職人型モデルの限界: 「背中を見て覚えろ」という徒弟制度的な教育。
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情報のブラックボックス化: 担当者しか進捗や顧客との経緯を把握していない。
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経営者のプレイングマネージャー化: 所長が実務に追われ、組織作りに時間を割けない。
2. 脱属人化の第一歩:業務の「可視化」と「標準化」
「誰がやっても同じ品質」を実現するための具体的なステップ
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業務のたな卸し: 全てのタスクを細分化し、フローチャート化する。
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マニュアルの整備: 「判断が必要な部分」と「作業的な部分」を切り分け、後者を徹底的にマニュアル化する。
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チェックリストの活用: 経験の浅い職員でもミスを防げる仕組みを構築する。
3. 「自走する組織」を作る評価と教育
属人化を防ぐには、職員の意識改革とモチベーション管理が不可欠
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スキルの見える化: 誰がどの業務をどこまでできるか(スキルマップ)を公開し、多能工化を推進する。
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評価制度の刷新: 「売上」だけでなく、「仕組み作りへの貢献度」や「チームワーク」を評価対象に加える。
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権限譲譲: 所長が意思決定の基準を明文化し、現場に判断を任せていく。
4. ITとツールの戦略的活用
仕組みを形骸化させないためのインフラ整備について説く
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クラウドによる情報共有: 顧客情報や進捗状況を一元管理し、誰でもリアルタイムで確認できる状態にする。
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コミュニケーションツールの導入: 電話やメールに頼らず、チャットツール等で知見をログとして残す。
5. 脱属人化がもたらす「究極のメリット」
最終的に目指すのは、単なる効率化ではない
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事務所の資産価値向上: 特定の個人が辞めても揺るがない組織は、事業承継やM&Aにおいても高く評価される。
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ワークライフバランスの改善: 業務の平準化により、特定の職員への負荷を軽減する。
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高付加価値業務へのシフト: 単純作業を仕組み化することで、人間にしかできない「コンサルティング」や「顧客対応」に時間を割けるようになる。
本書の格言的メッセージ
「属人化は、職員の才能に甘えている証拠である。仕組み化こそが、職員の自由と事務所の成長を両立させる唯一の道である。」
まとめ:この本を実践するとどうなるか?
所長が1ヶ月不在にしても、事務所が普段通り(あるいはそれ以上に)円滑に回り、顧客満足度が維持される状態を目指すことができる
現在、事務所(あるいは組織)において、特に「この人がいないと困る」という特定のボトルネックを感じている業務の解消法として有効な一冊である



















