ある朝、NHKラジオでコメンテーターとしてゲスト出演されていたことがきっかけとして、知った
若手が突然転職しますと言ってくる
労働環境が良い方が辞めない、と考えられることが普通の常識だと考えられるが、
若手をどう育てていくか、古くて実は全く新しい課題として、現在、問題視されている
日本の構造的問題なのかもしれないと、問題提起されている
その問題とは、職場運営に関わる法律が変わったことが契機であるとのこと
2015年若者雇用促進法施行
採用活動の際、自社の平均残業時間、有給休暇取得率、早期離職率等を公表することの義務付け
2019年働き方改革関連法による労働時間上限規制
その後の、2020年パワハラ防止法施行
2022年以降の改正育児介護休業法
このあたりの流れを、筆者はまるっと「職場運営法改革」と呼称している
●第一章 注目すべきは「若者のゆるさ」ではなく「ゆるい職場」
若者の早期離職状況
・就職前に想像していた職場のイメージと現実のギャップによる「リアリティショック」。
こんなことは当然あるものだと、一般的な大人だと分かることだと思うのだが
「配属ガチャ」「上司ガチャ」しかり。
協調的で厳しさとは無縁そうな職場風土を望んでいる傾向が強まっている
そりゃそうかもしれないが
若者雇用促進法の施行時期は、
若手人財の獲得競争激化と同時期にあり、
そのために採用力を高めたい企業の思惑が合致し、大企業を中心に多くの企業が情報開示を始めた
そのため、以前よりも定量的な就活ができるようになった
学生は、数字を注視している
企業側に職場環境改善誘因が生じる
「人的資本経営」も、後押しの一つ
もう、過去には戻れない
「不可逆なもの」
負荷は高くない、理不尽さもない、叱られない、居心地が良い
「ゆるい職場」登場となる
これが、古くて全く新しい問題
●第二章 若者はなぜ会社を辞めるのか
不可逆的変化
コロナショックを契機に、オンライン、リモートワーク、の導入
コミュニケーションスタイルの変化、口頭から文字へ
チャット、メール、がメインになった
1 グレートリセットされた日本の職場
不可逆的な変化/新卒社員の労働時間/負荷の低下/叱責されたことがない/職場環境の好転/リアリティショックの縮小
2 好きなのになぜ辞めるのか
高まる若者の不安/転職できなくなるんじゃないか
3 若者の「不安」の正体
なぜ職場環境が良くなっているのに不安なのか/不満型転職から不安型転職へ/不安をどうマネジメントするか/ロールモデルになりえない上司・先輩/世界でも起こる若者と職場の関係変化
●第三章 「ゆるい職場」時代の若者たち
1 二層化する若者
「最近の若者」論の限界/コスパ志向/異なる2つの姿勢
2 “白紙”でなくなる新入社員たち
入社時点ですでに違う/学生時代の活動/社会的経験の量/世代間での大きな差/「社会的経験」がもたらすもの/「不安」を感じる新入社員/新入社員の“大人化”
3 「過去の育て方が通用しない」を科学する
10年前の新卒社員と比べる/2016年卒という転機/難問の浮上
●第四章 「ありのままで」、でも「なにものか」になりたい。入社後の若者に起こること
1 “優秀な若者”の研究
若者の悩みと希望/矛盾する2つのキャリア観/情報だけが多くても展望は開けない/行動がキャリアをつくる/4つの実像
2 スモールステップで動き出す若者たち
育成の主語の転換/小さな行動から始める/スモールステップの特徴/アクションと性質/実践5要素/ゆるい職場とスモールステップ
●第五章 若者と職場の新たな関係
1 定着させることが本当の目的なのか
離れ小島に囲い込む/社外活動の効用/転職がなくなるとき
2 「コミットメントシフト」がもたらす新しい関係
関係社員を増やす/新しい関係の成立/ハイパー・メンバーシップ型
●第六章 若手育成最大の難問への対処
1「ゆるい職場」時代の解決不能な問題
2つの難問/成長した若手ほど辞める
2 第一の難問に対処する
いかに関係負荷なくストレッチな仕事をさせるか/横の関係で育てる
3 第二の難問に対処する
自律的でパフォーマンスの高い若者/仕事外の新たな使い方/社内・職場内の「外側の世界」/開示しやすい空気/不安をマネジメントする
●第七章 助走としての学校生活
1 若者を育てるスタートライン
学校を変えなくては優秀な若者は採用できない/動機なき学校選択
2 学びの動機はどうつくられるか
外側にしか学校生活の動機は存在しない/学びの選択が自由な国
●第八章 ゆるい職場と新しい日本
1 キャリア選択が世界一自由な国をつくる
自由の二重奏/行動と動機の好循環を巻き起こす/企業の新しいメンバーシップ/余白を活かすキャリアづくり/あらゆる経験が活きる
2 日本が今後直面する課題
「誰が若手を育てるのか」問題/自律なき自由/はびこるパターナリズム/遅い選択の問題