著者は、吉村慎吾氏。株式会社ワークハピネス代表取締役、公認会計士でもある。
サラリーマンをいかにして、イノベーターに変えるかがテーマの本。
「革新的価値創造戦略」を、いかにして遂行していくか。手本はない。自らの水平思考がすべて。未来を創ること。
何を気持ち良いと感じ、何を気持ち悪いと感じるのか。
スティーブ・ジョブズ氏曰く「他人の人生を生きるな。心の声に耳を傾けなさい。」
■レコードプレーヤーからCDプレーヤー、そして、iPod、iTunes。
レコードからCD、ダウンロード時代へ。
■ベンチャー企業創業者が、知恵と努力とイノベーションで起業したが、MBAフォルダーのオペレーターが、標準化と効率化で事業拡大。結果、イノベーターは追いやられていく。イノベーションが生まれなくなる。
■武田信玄、騎馬武者、突撃戦法。息子勝頼VS織田信長。鉄砲三段構え、1575長篠の戦い。結果、惨敗。成功体験への固執が原因。
■マイケル・デル氏。デルコンピュータ。BTO方式。前払い資金繰りの悩みなしで、IBM、コンパックを凌駕した。
■任天度ファミコンが、スマホゲームに。百貨店が、イトーヨーカドー、イオン、ダイエー、カテゴリーキラー大型専門店ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、イケア、ニトリ、トイザらス、赤ちゃん本舗に。そして、Eコマース、楽天、Amazonに。
■ソニーのウォークマン。録音機能がない、スピーカーがない、売れると、手のひら返し。
■人は、見たことが無いものは欲しがれない。ソニー、Appleには、マーケティングセクションがない。マーケットリサーチを行わない。
■イノベーションを生み出すのは、自らの感性を信じ、溢れる創造欲求をもったイノベーター。
■経営者の仕事は、イノベーターのハートに火をつけて励まし、育てること。
■インベンションとイノベーション
・インベンション(invention)=「発明」ジョセフ・スワンは、電球を発明したが、イノベーション( innovation)=エジソンは、事業化し収益化した。
・創出したアイデアを、収益を生み出す事業へと発展させる。
・社会に役立つ価値創造、対価として、お金を払っていただく。
・特許の出願が目的化している。貴重な時間が、(発明者の)自己満足に費やされている。
・iPhoneが発表されたとき、日本の大手電機メーカーの技術者は、「こんなもの、日本のデバイスメーカーがいくらでもつくれる。パーツは全部日本製。技術的に対したことはない。」
・技術の話ではなく、価値の話が重要。
・イノベーションは、技術革新ではなく、「新しくする、刷新する。」
■ピータードラッカー「企業の基本的な機能は、マーケティングとイノベーションである。」
・技術ではなく、社会的価値、革新的価値創造、今と未来。
■イノベーティブアイデア
・カップヌードル=チキンラーメン+紙コップ
・チキンラーメンの4倍の値段、紙コップに入れただけで、なんでこんなに高いんだ。⇒「カップヌードルの値段には、忙しい現代人の時間が詰まっているのだ。」安藤百福氏
・本田宗一郎氏「壮創意工夫とは、苦し紛れの知恵である。知恵が出るまでには相当量の苦しみが必要である。」
■齋藤 孝先生も、同じ話をされている。
・垂直思考:フレームワーク、ロジックツリー代表的。課題分析、問題解決には有効だが、革新的価値創造を生み出すことはできない。
・水平思考:ゼロベースでアイデアを生み出す。確立された手法がない。イノベーション。頭、柔軟。
【事例】
フォード自動車、購買部門500人から100人へコスト削減。発注書、請求書、納品書の三段階⇒発注書だけで良いのでは?発注書で依頼した通りのものが届くことが重要。
・80対20(パレードの)の法則。仕事の80%は、20%のイレギュラー処理のためにある。
■ホンダVTECエンジン
・焼き鳥屋で、焼かれていたネギまから発想。ネギを支点に、鶏肉を回転させて焼いていく。開発にはワクワク感が大事。
★そういえば、がっちりマンデー「学校に入り込んでがっちり!ビジネス」の回で、ものすごい会社が紹介されていた。
■潟Tカワ
従来の黒板に投影できる黒板専用プロジェクター「ワイード」を開発した。黒板に教材フレームを投影して、先生の板書時間をなくした。もちろん、チョークで追記することもできる。
黒板+プロジェクター=ものすごい生産性向上。
先生の板書の時間を無くし子どもたちが授業に集中できるようになった。
■イノベーションは、カオスとオーダーの間で生まれる。
・江崎玲於奈氏ノーベル物理学賞「組織化された混沌」
■フレームワーク「ケオディクパス(chaordic path)」
・混沌(カオス)と秩序(オーダー)の間の道。
組織不統合、エゴ欲求←カオス(混沌)↑オーダー(秩序)→コントロール統制、現状維持
ここの事。
×技術
○価値、革新的価値、新しい価値。
イノベーションは、カオスとオーダーの間で生まれる。
■イノベーションが生まれる組織の三つの条件とは。
1明確なミッション(使命・存在意義)
2限りなく少ないルール
3異質の尊重
1明確なミッション(使命・存在意義)のもたらす三つの効果
@経営陣の意思決定がぶれない、基本的価値観(コア・バリュー)。
ホンダ「独創的」、グーグル「革新」
ミッションは、「手段」と「(社会的)価値」をセットにして、明確に言語定義化。
A現場に誇りを与える
レンガ職人の事例
Bイノベーションが生まれる
イノベーションは、失敗の連続、失敗を繰り返して高速で学習しやがてあるアイデアをきっかけにブレークスルーする。撤退はすべての終わりにつながる。しかし、完成させれば、ものすごい同業他社にとって高い参入障壁になる。
2限りなく少ないルール
企業文化という、世間の非常識、限りなく明示的目次的なルールを減らす。
グーグル「まずやってみる。𠮟られたら引っ込める。」シンプルなミッション、シンプルな価値観。
3異質の尊重
異質な人材を、同じ場所に閉じ込めることが必要。
スティーブ・ジョブズ氏
「マッキントッシュが成功できたのは、ミュージシャンや詩人、アーティスト、研究者が一緒に仕事をしたからである」
×ダイバーシティ、ではなく、
○異なる価値観、異なる才能を尊重
×違い=間違い
○違い=価値
■人は体験して、価値観が変化する。
本田宗一郎氏「お前が理解できない人間こそ採用しろ。」
■イノベーションが生まれない組織の特徴
・歴史が古くて社是や経営理念にドメイン定義(領域、フィールド)がない
・時代の変化に適応するために、適度な広がりをも持つOB杭(制約)を打ち、制約を設けることが必要となる。
・経営理念にも、時代適応が必要。
・成果主義評価が強い。
■イノベーティブアイデアは、プロトタイピング(試作)を繰り返し、数限りない失敗と学習を経て、イノベーションとして結実する。
・ホンダ、エアバック。開発16年かかっている。
・評価報酬制度で挑戦者を生み出すのは難しい。ただ好きだから、楽しいから、やりたいからやっている、という環境作りが必要。
【実験】
子供たちにゲームをやらせる
Aチーム 何も言わない。⇒どんどん上達して、イノベーティブな手法を開発していく。
Bチーム 事前に、うまくできたら1000円あげる⇒目標達成後、ゲームをやめてしまった。
報酬が、上達する喜びを貶めた。
・イノベーション、強制されたら拷問だ。
・報酬ではなく、人の内側から湧き出る挑戦欲求、創造欲求に火を付け支援するだけで良い。
■顧客や社会に届ける価値に集中すること。
・「相対的価値禁止」他社はどうでもよい。当社はどうしたいのか。
・自己の強烈な原体験からくる、「絶対的価値」で想いを込めて、独創的な製品の開発に取り組む。
「あなたはどう思う?何をしたい?なぜそうしたい?」
【事例】
ホンダ、エアバック開発者 小林三郎氏。本田宗一郎氏より、「安全が一番大事」と言われた。
「ホンダの安全は俺が守る。」
「他社はどうでもいい。ホンダは?⇒小型車でもベンツ並みの安全性を実現して、交通事故死者を減らす。」
⇒明確なミッション。
■企業の基本的価値観(コア・バリュー)がイノベーションを生む
【事例】どちらかしか選べないとしたらどちらを選びますか?
A君:販売成績抜群だが、よく遅刻する⇒保険会社
B君:販売実績普通だが、遅刻皆無⇒鉄道会社
とどのつまり、適材適所、といった感もあるか。