著者は、細谷 功(ほそや いさお)氏。
ビジネスコンサルタント。クニエ コンサルティングフェロー。
東京大学工学部卒業。東芝を経てアーンスト&ヤング・コンサルティング(ザカティーコンサルティング、クニエの前身)に入社。製造業を中心として製品開発、マーケティング、営業等の戦略策定、業務改革プランの策定・実行・定着化等を手がける。
世の中の動きが速くなり、情報の陳腐化が激しい今の時代に必須の本だと思った。
■フェルミ推定は、望月 禎彦(もちづき さだひこ)先生から、思考力アップ研修の際、教わった。
「日本全国に電柱は何本あるか?」
日本列島を長方形とみなす、全国の電柱の配置を格子状に近似化する。
一言で言うと、「仮説立案力」とでもいうのではないか。
■二極化
・デジタルデバイドから(膨大な情報量に溺れる人)
ジアタマデバイトへ(膨大な情報を考える力で更に増幅させる人)
・レガシー会社人から
地頭型多能人(バーサタイリスト、なんでもやる人)へ
・バーサタイリストとは、ITエンジニア向けの人材像で、”複数の分野に対応できるエンジニア”のこと。それが転じ、多能工、多芸者、多能職という意味で使われているそうだ。
・バーサタイリスト(Versatilist)の”versatile”は”多才の、多芸な、多方面にわたる、何をやらせてもうまい”、という意味で、実に都合のいいスーパーマン的な人材をイメージさせる、とのこと。
■地頭力とは
・考える力のベースとなる知的能力。
・三つの思考力(仮説思考力、フレームワーク思考力、抽象化思考力、)
・三つの力(論理思考力、直観力、知的好奇心)
・考えるプロセスと習慣、訓練によって、鍛えることができる。
■仮説思考力(三つの思考力)
・KZT(「結論(エンド)から」「全体(トータル)から」「単純(シンプル)に」)。ダイゴふうに、まとめてみたwETSと、どちらが覚えやすいか。
・経営者は特に、早く結論から言ってほしい。プレゼンテーションと同じ。
■要点
1 地頭力とは、知的好奇心と論理思考力、直観力をベースとし、
「結論から考える」仮説思考力、
「全体から考える」フレームワーク思考力、
「単純に考える」抽象化思考力、
の3つから構成された、あらゆる思考を支える知的能力である。
2 フェルミ推定は、とらえどころのない数量を、論理的に短時間で概算する方法を指し、地頭力を鍛える絶好のツールだ。
3 今後は、知識や経験をもとに、常に環境に適応しながら次々と新しい知識を生み出せる人、地頭型多能人(バーサタイリスト)をめざす必要がある。
■フェルミ推定をビジネスにどう応用するか
・全体ストーリー起草力
・概算算出力
・先に結論想定、その後データ収集(不要なデータ収集作業防止)とりあえず、やみくもにデータ収集することは絶対に避ける。
・概算算出方法を仮に決めて、枝葉に拘らず。
・マイルストーン作成。(スケジュール表の中における「工程ごとの期限(区切り)ポイント」)
・まず初めに目次を作る行動パターンを心掛けること。
■仮説思考
〔定義〕
1仮説を想定し
2常に最終目的地として、強く意識して
3情報精度を高めながら、検証を繰り返し、修正し最終結論に至る
・最終目的地から逆算して考える
・はじめからではなく終わりから考える
・手段からではなく目的から。
・ベクトルを逆転させる。
〔ポイント〕
1どんなに少ない情報からでも、仮設構築する姿勢。
2前提条件を設定して先に進む力。
3時間を決めてとにかく結論を出す力。
〔三つの力〕
1フレームワーク思考力
2全体附款力
3分解力
〔目的〕
・思考の癖を取り払い
・コミュニケーションは効率的に
・ゼロベースで斬新な発想を
〔意識付け〕
・相対座標(個人個人、経験、知識に裏付けられた独自のものの見方)
・絶対座標(絶対共通認識)
〔リスク〕
・先に枠を固定することによる、思考そのものの固定化(思考停止)
〔全体プロセス〕
1全体附款
2切り口の選択
3分類
4因数分解
5全体再俯瞰とボトルネックの発見
■抽象化思考力
・一を聞いて十を知る
・30秒チェック。「エレベーターテスト」いつでも、どこでも、短時間で回答できる訓練。
500ページの報告書を、30秒で説明できるか?
・本を読後に、キーメッセージは何か?、30秒で説明するとしたら何というか?
〔基本プロセス〕
1抽象化
2解法の適用
3再具体化
〔ポイント〕
1モデル化
2枝葉の切捨て
3アナロジー(類推)
〔基本概念〕
・共通点を探す
「なぞかけ」
○○とかけて△△と解く⇒その心は?(共通点探し)××おちが来る。
〔留意事項〕
・具体化とのバランスを常に意識
事例:過度に一般化しない(「近頃の若者は」とか、決めつけない)、自己の特殊化(「自分はもっとまともだった」とか、決めつけない)
■地頭力のベース基礎
・二つのペア
「論理」守り:誰がどう見ても、一貫して繋がっていることを担保。
「直観」攻め:個人特有のアイデアを生み出す。
・知的好奇心(合わせて)
× What型 「知識への好奇心」(ではなく、)
○ Why型 「問題解決への好奇心」できれば、こっち)
■地頭型多能人の目指す境地とは
・地頭力:X軸
・対人感性力:Y軸
・相反するかもしれないが、理屈と感情をバランスよく駆使できる。
・夏目漱石「草枕」冒頭の一節
「智(ち)に働けば角が立つ、情に棹(さお)されば流される、意地を通せば窮屈だ、兎角に人の世は住みにくい」
■「理由は3つある」の量的な特性とは
・相手の準備を促せる、脳の記憶領域に、予め三つの入れ物を用意させてしまう。
1「いくつある宣言」が重要
2人間の短期記憶容量が三つ程度だから(簡単に覚えきれる最大値)
3質的な特性
・フレームワークに不可欠な網羅性を担保でき、冗長性を排除することが期待できる。
(3C、MECE等)
・視点、座標軸の数として、「3」という数字の収まりがよい。
なぜ収まりが良いか、具体的根拠はないが、望月先生もお話しされていた。(瀬島龍三氏の話)
人間の身体特性二つの目、腕、足、なんでも二つは揃っているが、そのため、三つ目の項目が、発案しにくいため、三つ目の案は重要である。
※最後に、望月先生も言っておられたが、物事の事象を自分の言葉に変換して、説明することができるか?(例:管理職のリーダーの三大義務とは?)